淵に立つ
深田晃司監督作品で、第69回カンヌ国際映画祭『ある視点』部門で審査員賞を受賞した。作品である。
あらすじ
下町で小さな金属加工工場を営みながら平穏な暮らしを送っていた鈴岡利雄・章江夫妻とその娘・蛍の前に、利雄の昔の知人で前科者の男・八坂が現れる。奇妙な共同生活を
送り始める鈴岡家族だったが、やがて八坂は残酷な爪痕を残して姿を消す。
8年後、夫婦は皮肉な巡り合わせから、八坂の消息を徐々に掴んでいくが、それによって夫婦が隠してきたことが浮き彫りになる。そして最後の結末は?
感想
本作は鑑賞した人の理解力、想像力で意見が変わって来る作品だと思う。
八坂は異常なほど約束を大切にしていた。これが一つの鍵になるのではないかと感じました。
八坂が蛍にしたことの真相はわからないが、私は八坂は何もしてないのに、疑われたとも取れるように感じました。
八坂の息子も少し蛍に触れただけなのに、章江にキレられる場面もありました。
この場面を見て、親子のトレースが似ているように感じました。
序盤、八坂が章江に信仰心には2種類あると説明している部分がありました。
1.サル型の宗教・・・子供(信仰する人)が自分から親(神)にしがみつく
2.ネコ型の宗教・・・親(神)に子供(信仰する人)が首根っこをくわえられる
八坂は章江に対してネコ型と言っていました。
章江は『私は結構神にしがみついていると思ったけどな〜』と言っていましたが
最後の場面では、娘と一緒に自殺を図りました。
章江は敬虔なプロテスタントで、自殺は禁句なはずなのに自殺を図ったので、この時に八坂がネコ型と言っていたのは合っていたなと感じました。
また、利雄・章江・蛍は、食卓で『自身の体を子供にあげる母グモ』の話をしていました。
章江は『母グモは天国に行ける』と母グモの自己犠牲を尊く思っていました。
蛍は『子供のクモは天国に行けない』と子供のクモの罪を重く考えていました。
それなのに、最後は章江が蛍と心中をする場面だったのです。
鈴岡家は約束を大切にしていなっかった一家なのかなとも感じたりして面白かったです。
中盤と終盤の4人が川辺に寝ているシーンの配置には何か深い意味がありそうでした。
想像力で人それぞれ考察が違うので、人の感想を見るのも楽しい作品でした。
皆さんも一度は見て損はないと思います。
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