皮膚と心
この作品は太宰治作品の中で最もキュートな作品の一つだと思います。
現代の少女漫画よりもキュートでバカップルな一面が見られます。
あらすじ
主人公は28歳の女性であり。自分の顔にあまり自信のない。ある日、吹き出物ができる。最初はあまり気にしていなかったが、風呂場で体をこすると吹き出物が体中に広がり、着物の下に隠せないほどのものになってしまい、ついに自分の夫に相談する。吹き出物の原因はわからず、病院へ行くことになるが、その病院の待合室で自分の不安について深く考え込んでしまう。元々顔に自信がなく、結婚するのも遅く、やっと舞い込んだ縁談の相手である夫についても乗り気ではなかったという背景を持った主人公であったが、いざ自分が病院に行くほどの病にかかったとなると、急に女としての寂しさや不安を憶えるようになり、葛藤する。
感想
太宰作品は暗闇の中での苦しみ.悩み.自嘲が多い作品がたくさんある中で、『皮膚と心』は異なった光を放ち、美しく.儚く.可愛いく切実な女心を描いた作品で大変面白かったです。
新婚夫婦の絆が垣間見える物語でしたが、二人とも劣等感を抱いていて、その影響で気をつかったり、優しすぎたりしていました。
自分に自身がないから謙虚になれるのだし、自分が傷ついてきたからこそ相手の痛みがわかるのだし、優しさ気遣いの根底には劣等感が存在するのではないかと感じる作品になっていました。
夫の仕事はデザイナーで、銀座の有名な化粧品店の、蔓バラ模様を描いたと作品に出てきますが、この蔓バラ模様は資生堂の絵柄だと言われています。
太宰治はこの絵柄に何らかの思い入れがあったのではないか?とまで想像を掻き立たせてくれる作品になっています。
女性の方はぜひ読んではいかがでしょうか?
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